ほぞ穴から腐朽の例
3年経過のウッドデッキの取り替え作業中です。大工さんに作ってもらったとのことです。ご近所の方から、「この間作ったばかりなのに、もったいないねえ」と言われてしまいました。
樹種はベイツガと思われます。建築用には良い木で日本の住宅の柱や間柱の半分くらいはこの木と思われますが、水にぬれる屋外には向きません。樹種選択が第一の問題です。
第二は、ほぞを多用していることです。
腐朽はほとんどがほぞ穴から始まっていました。一方、ほぞ穴周辺以外はまだしっかりしています。(床板や手すりなど、表に出ている部分は大分傷んでいました。ベイツガのため、寿命が短かかったようです)
ほぞは、柱と根太などの頑丈な接合ができますが、屋外ではほぞ穴に入った雨水は乾かず、腐朽菌の温床になります。この例でも、おそらく3年間一度も乾いたことはなかったものと思われます。下の写真はフェンスの柱を立てていた上向きのほぞ穴ですが、水がたまっています。
上の写真では地面からほぞ穴へ向けてアリ道ができています。幸いシロアリではありませんでした。
第三の問題は柱の下部の固定です。地面に穴を掘り、コンクリートを流し、その中に柱を埋めてあります。水は木とコンクリートの隙間にしみこんでいきます。底もコンクリートですので、入った水は出口がなく、いつまでも滞留していたと思われます。柱の足元も腐朽していました。
やむを得ず柱を地面に埋める場合は、
@ 土と縁を切る(この例では合格です)
A 水が抜けるようにする(この例では不合格です)
の2点を考慮する必要があります。
穴の底は砂利を置いて水が抜けるようにした上で、周りだけをコンクリートで固めれば、結果はかなり違っていたはずです。
同じように見える木造のつくりでも、屋外と屋内では樹種や工法を変えないと、寿命がまったく変わってくる例です。